日めくり雑語り帳

映画の感想とかとか 備忘録

『BLUE/ブルー』感想 主役×主役×主役(微ネタバレ)

吉田恵輔監督作ということで、これは必見だぜ!と勇んで見に行きました。聞けば監督はずっとボクシングやってて、ボクシング映画を撮りたいと何年も構想を練り続けてたそうな。

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・引用https://eiga.com/movie/94253/photo/

同僚の女子にいいとこ見せたい楢崎(柄本時生)は、ボクシングジムに入会してみる。最初は「ボクシングやってる風」でいいと真剣に練習するつもりはなかった楢崎だが、だんだんと熱中していく。同じジムの実力者・小川(東出昌大)は日本チャンピオンを目指しているが、パンチドランカーの疑いがあった。そのさらに先輩にあたる瓜田(松山ケンイチ)は誰よりもボクシングに情熱を注ぎ、仲間たちへの応援やアドバイスにも余念がないが、本人はなかなか試合に勝てない。三人の道が絡み合い、どんな結末を迎えるのかーーみたいなあらすじ。

キャラクター造形のうまさがすんばらしい。このお話には三人の主人公がいるといえるけど、三人ともそれぞれ単独の視点で映画の主役やっても全然成立する。
扱い的にメインは松ケンみたいだけど、キャラとして一番王道の主人公っぽかったのは柄本時生演じる楢崎。コメディリリーフ担当だけど実はボクシングのセンスもあって、周囲との交流により才能が開花していく……みたいな。好きです。
コメディシーンでいうと、最初の中学生と揉めるところ(声変わり中の声でオラつく中学生も最高)とかけっこう繊細な演技なんじゃないかと笑いながら感心しました。
あと、ボクシングを始めるきっかけになった同僚女子が別の同僚に取られたあと「俺にはボクシングしかないんで」ってドヤるところ。負け続けても諦めない松ケンと同じセリフなのにこの差はなんや!という。でも当人としては真面目な気持ちで言ってるんだろうなというのも共感できて好感度高い。
東出昌大の小川は共感という面では一番遠いところにいるキャラだけど、強いからこそ引退に繋がる病気を明かせずにいるんですね。この弱い面が観客の感情移入を誘う。それに実力があるからといって調子に乗ってもなくて、先輩の松ケンのアドバイスを真摯に聞いてるあたりもよい。
そして松ケンこと瓜田!超すき!めちゃ弱いんだけどボクシング愛は人一倍、勝てなくてもボクシング以外の生き方ができない男。負けるのは悔しいのに他人には明るく振る舞ってみせ、それが逆に何ヘラヘラしとんねん!みたいに言われることもある。たぶん教える側に徹すればかなり有能なんですよね。この映画は彼が夢を諦めるまでの話ともいえる。夢を諦めることの難しさ、吉田監督の過去作ではマイフェイバリットの『ばしゃ馬さんとビッグマウス』と同じテーマですな。

 

キャストに関してもういっちょ、楢崎が狙ってる同僚女子役の吉永アユリウルトラマンタイガのピリカちゃんですね。特撮ヒロインと認識してる女優がラブシーンやってると別段エロいことしてなくてもめっちゃエロく感じる、あると思います。

 ボクシングの描写に関しては、そもそも現実のボクシングをあまり見たことないのでリアルかリアルじゃないか見分けられないけども、迫力あったと思います(小学生並みの感想)。

鑑賞してるときはいろいろ考えてたことあったはずなのに時間経つと忘れちゃうな……。メモ取りながら見るとかすべきですかね?