日めくり雑語り帳

映画の感想とかとか 備忘録

漫画いろいろ読んだよ報告

漫画の感想記事とか書きたいな〜と思ってたんだけど、作品ごとに記事作るとあんまり文字数書けなかったからここで一言感想まとめます。

 

夏目アラタの結婚(乃木坂太郎既刊1〜5巻

児童相談所に務める夏目アラタは、父親を猟奇殺人犯「品川ピエロ」に殺された少年・卓斗を受け持つ。卓斗は未だ発見されない父の頭部の隠し場所を探るため、拘置所にいる品川ピエロこと真珠と文通をしており、その際はアラタの名を騙っていた。直接会いたいと言いだした真珠に接近するため、アラタ本人が彼女に面会するも、真珠は合った途端にアラタへの興味をなくしたような様子。自分こそが運命の人だと信じさせるため、アラタは真珠にプロポーズしてしまい、そこから二人の壮絶な騙し合いが幕を開ける……みたいなあらすじ。

サスペンス色が強い漫画で、真珠の内面がまったく読めないのがポイント。環境で悪人になったかわいそうな人かと思いきや、そう見せるための演技のようであり、でも実は演技じゃないのかも……と裏を読むほどに混乱してくる。
そこに切り込むアラタの心情の動き、真相を探るために恋愛ゲームに乗る一方で、本当に愛情のようなものが芽生えてきてるような……。ひたすら暗い物語にならず、ちょっとラブコメっぽい雰囲気もある独特のバランスが新感覚。

 

ミステリと言う勿れ(田村由美既刊1〜8巻

大学生・久能整(くのう ととのう)がいろんな事件に巻き込まれては居合わせた人々にぺちゃくちゃ喋りまくり、ウザがられながらも最終的には関係者全員へのカウンセリングみたいになって事件も解決しちゃうお話。

作者も言う通りミステリじゃないなこれ。ネウロみたいなミステリ風エンタメだ。
作品の核は整くんが喋る内容、社会の矛盾をつく論破っぷりで、古い固定観念に囚われた人々をハッとさせ読者もスカッとさせるところにある。んだけど、言ってしまえばツイッターでバズる論破漫画そのままというか、言いたいことそのままセリフで表現しすぎじゃない?と思ったり。まあそれが整くんのキャラなのでしょうがないけど。もっと若い作家なら、物語の中でうまく昇華するんじゃないかな〜的なことを考えてしまった。

読んでる最中に月9ドラマ化決定のニュースが入ってきてタイムリーさにちょっと嬉しくなりました。菅田将暉主演ということは、フィリップっぽい役作りになるのかしらん。

 

パンプキン・シザーズ岩永亮太郎既刊1〜23巻

 「帝国」と「共和国」とが停戦条約を結んで3年が経ったが、帝国内ではいたるところに戦争の爪痕が深く残る。戦争によって家族や仕事を奪われた人々、居場所を失って暴れまわる元兵士――。そんな戦災からの復興を目指すのが陸軍情報部第3課「パンプキン・シザーズ」。彼らに偶然出会ったランデル・オーランド伍長は、なんやかんやで3課に入ることになる。しかしオーランドは戦中、特殊な実験で生み出された対戦車兵士として殺戮を繰り返し、伝説として恐れられた過去があった……みたいなあらすじ。

複雑なようで単純なようで複雑な物語。
一番わかりやすいところでは、いわゆる「ナメてた相手が殺人マシンでした」ものにジャンル分けできる。温厚で争いを嫌うオーランドが、戦車の中でぬくぬく調子こいた悪人どもをボコボコにしていく様はそりゃあ気持ちいい。でもこれは「戦災」なわけで、悪いやつを殺せば解決というわけにもいかないし、オーランド自身が人を殺したくないという葛藤もある。それだけでけっこう複雑なドラマが生まれる。
さらに物語に深みを与えているのが、政治劇としての側面。上官たちはそれぞれに軍のため・国のためを考えて行動しているものの、理想の方向はひとつではないから、騙し騙されの陰謀が渦巻く。局面によって味方だったり敵だったりする。権謀術数が蠢く中、もうひとりの主人公ともいえるヒロインのアリス・L・マルヴィンは愚直に民のための正義を貫く。
キャラクターたちがみんな一筋縄ではいかない思惑を抱えているのが魅力で、「敵にも悲しい過去が」みたいなの嫌う人も多いみたいだけど俺は好きなんすよ。その悲しい過去のアリスはどう向き合うの? というのが大きな見どころでもあり、この辺はキャラクター造形の巧みさに感心しきり。

ただ、テロ編から顕著だと思うんだけど、セリフ長すぎない? とちょっと思います。いくらなんでも語り過ぎでは……。テーマが「正義とは何か?」とか「戦災とは何か?」とか「どうなったら復興が果たされたといえるのか?」とか「復讐の連鎖はどうすれば止まるのか?」とか哲学的な核心に迫ってるので、問答がメインになるのはしょうがないとはいえ……まずテロ編自体がめっちゃ長いし……。

とはいえ、このテロ編はそれまでにでてきた様々な要素が怒涛の勢いで回収されていくから、もうすぐこの漫画の結末に向かってるのかなと思います。こんなストーリー考えるのめちゃくちゃ難しいと思うので、話作りの現場を覗いてみたい。

 

最近一気読みした漫画はこんなところでしょうか。
またなんか読んだらブログに書きたいです。おわり。