日めくり雑語り帳

映画の感想とかとか 備忘録

『ジェントルメン』感想 マンネリなのかこの感覚は(ネタバレなし)

ガイ・リッチーはめっちゃファンってわけでもないけど新作が公開されたらとりあえず見ようってくらい。
特に今はコロナ禍で洋画の大作はあまりかからないので、けっこう楽しみにしてましたよ。 

 マリファナビジネスの頭目・ミッキー(マシュー・マコノヒー)が事業を引退し、大富豪のマシュー(ジェレミー・ストロング)に権利を売り払うことになった。だが同時に中国マフィアのドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディング)もミッキーに事業の売却をもちかけ、秘密のはずの製造プラントが謎のチンピラたちに襲撃される。さらにはロシアンマフィアやボクシングジムも絡んでいよいよゴチャゴチャに。事態の全容を掴んだらしい私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)は、その秘密をネタにミッキーの腹心レイ(チャーリー・ハナム)を脅迫するが……というあらすじ(うろ覚え)。

カネを巡る群像劇ということで、ガイ・リッチーでいえば『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』に似た印象のストーリー。ガイ・リッチー監督作の中でもみんな好きなタイプのやつですね。

 ガイ・リッチーはかなり作風に幅があるというか、作品によってカラーが極端に振れる印象がある。前作が『アラジン』ですからね。

 そんな中で久しぶりに初期作テイストの作品がやってきたつってみんな盛り上がってました。俺もけっこう期待してました。

初期二作も今作も「風呂敷を広げて畳む」というだけっちゃだけで、実は脚本が上手いというよりは編集の上手さで魅せるのがガイ・リッチー風味。スタイリッシュすぎて一周回ってギャグっぽくなる的な。映像の繋げかたを見れば誰でも共通したものを感じるんじゃないかしら。それは初期二作と今作に限ったことじゃないと思うんですね。

脚本面での作家性では、「落ち着くべきところに落ち着く」というところで一貫してると見てます。善人とまではいかないまでも観客が好感を持つキャラが勝つようになってる……のが『ロック、ストック〜』『スナッチ』だったんだけど、『ジェントルメン』にはその好感持てるキャラがいなくない……? コーチ(コリン・ファレル)は唯一のいい人だったけど、ただ巻き込まれただけだしなぁ。
それでも「落ち着くべきところに落ち着く」というオチにはなってて、でもそれってたくさん死人を出した結果なにも起きてないのと同じ状態になったみたいなことで、まあそれはそれで面白い……のか……? 
でも初期二作もそれと同じっちゃ同じ感じではあり、これは単にマンネリを感じてしまったということなのかもしれない。映画の規模が大きくなってキャスト陣も豪華なんだけど。この手の話は小規模なほうが楽しいのかもしれない。

探偵フレッチャーの解説による物語の進行はスムーズだしガイ・リッチーお得意のスタイリッシュ編集とマッチしてて、ややこしい話がスッと入ってきました。やさぐれヒュー・グラントすき。

キャストでいうとドライ・アイ役のヘンリー・ゴールディングも好きだった。『クレイジー・リッチ!』のイケメン大富豪の人ですね。あれ面白いからみんなに見てほしい。